食物アレルギー~離乳食での鶏卵の進め方と検査の考え方~|えびしまこどもとアレルギーのクリニック|吹田市千里丘の小児科

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えびクリ通信

食物アレルギー~離乳食での鶏卵の進め方と検査の考え方~|えびしまこどもとアレルギーのクリニック|吹田市千里丘の小児科

今日は宮崎県の日向灘で地震がありました。ご親戚やご友人が宮崎県、鹿児島県におられる方もおられることだと思います。大きな被害が出ていないことを祈ります。地震が起こるたびに、明日は我が身かもしれないと思います。地震の時の持ち出し用の避難リュック、食品の備蓄などを改めて確認しようと思いました。

今日は食物アレルギーのお話です。

小児の食物アレルギーの原因食品として一番多い鶏卵。鶏卵を食べ始める時、アレルギーが出るのではないかと心配してなかなか進めることができない保護者の方もおられるかと思います。特にお兄ちゃんやお姉ちゃんに鶏卵のアレルギーがあると、なかなか開始できないこともありますよね。

 

離乳食で鶏卵を食べさせる前にアレルギーの検査をした方がよいかと質問を受けることがありますが、基本的に乳児期から湿疹が長引いている、実際に食べて症状が出たなどの事情がない限りアレルギーの検査は必要ないと考えています。乳児期から湿疹が長引いている方は主治医にご相談ください。

 

鶏卵のアレルギーでは食べて2時間以内に皮膚、呼吸器、消化器、循環器、神経などに症状が出る即時型症状が中心になり、アレルギーの原因となるのはほとんどの場合が卵白です。鶏卵のアレルゲン(アレルギーの原因)はオボアルブミンとオボムコイドという蛋白質で、オボアルブミンは卵白の80%を占める蛋白質ですが、加熱に弱く、加熱するとアレルゲン性(アレルゲンとしての力)を失います。一方オボムコイドは卵白の20%程度ですが、加熱に強く、加熱してもアレルゲン性が残ります。生卵のアレルゲン性を100とすると沸騰から20分茹でた固ゆで卵白ではアレルゲン性はオボムコイドで約10、オボアルブミンは0.01未満です。

当院では血液検査では卵白とオボムコイドの特異的IgE抗体の値を確認しています。卵白は生から半熟の卵を、オボムコイドは加熱した卵を見ていると思っていただいたらよいかと思います。血液検査で卵白やオボムコイドの特異的IgE抗体の値が陽性であっても、必ずしも食べて症状が出るとは限りませんが、数値が高いほど症状が出る可能性は高くなりますので、注意して食べていく必要があります。鶏卵の即時型症状は、摂取した量、調理方法、加熱度合によって症状の出方は大きく違ってきます。摂取量が多いほど、鶏卵が生に近いほどアレルギー症状は出やすくなります。また加工品では何と調理されたものなのか(小麦なのか、でんぷんなのか)によっても症状の出方は異なります。

 

生後5.6か月で鶏卵を開始していただく時、まずは固ゆでの卵黄から開始してみてください。沸騰から20分茹でたゆで卵の黄身を、赤ちゃん用のスプーン半分程度から開始してみるとよいと思います。卵の即時型症状はほとんどの場合、卵白で起こりますので卵黄に関してはそこまで慎重に進めていく必要はないかと思います。固ゆで卵黄を半分程度食べて症状が出ないことが確認されれば、固ゆでの卵白を開始していきましょう。フレンチトースト、卵とじのおかゆ、卵とじのうどん、卵入りの蒸しパンなどは火の通りが弱くなってしまいアレルギー症状が出る可能性が高くなりますので注意してください。

 

毎回、ゆで卵を作るのは面倒だな~という保護者の方は

固ゆで卵を作り、食べさせる量を小分けにして冷凍していただいてもよいと思います(1週間程度なら保存可能)

 卵アレルギーのお子さんの除去解除を進める時にも使っている方法です。少し大きくなるとゆで卵の独特なにおいを嫌がって食べてくれないというお子さんには冷凍のまま食べていただくこともあります。冷凍だとゆで卵の独特なにおいが消えて、シャリシャリとした触感で子どもが嫌がらずに食べてくれることがあります

 

さらに、ミルステップegg、チャイルカップたまご(https://bcase.co.jp/)やPaqupahttps://fufumu.com/pages/paqupa)といった便利な製品も販売されています。いずれも小児アレルギー専門分野でご高名な先生方が監修された離乳食の補助食品です。詳細は製品のHPでご確認下さい。ミルステップeggは医師の摂取指導が必要です(当院はミルステップeggのパートナー医療機関です)。

 

離乳食で卵を食べさせていたら症状が出てしまった場合、保護者の方の自己判断で除去せずにぜひご相談下さい。摂取量や調理方法を確認させていただき、なるべく完全除去(全く食べない状況)を避け、安全に摂取できる方法をお伝えしていきます。

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