9月も中旬になrましたが、まだまだ暑い日が続いていますね。
年々暑さが増しており、毎年のように 『過去最高の暑さ』というワードを聴くようになり、地球温暖化をひしひしと感じます。地球温暖化に伴い懸念されるのが日本脳炎を含む蚊が媒介する感染症の広がりです。蚊が媒介する感染症にはデング熱や日本脳炎、黄熱、マラリア感染症などがありますが、その中で日本脳炎や黄熱は予防接種で感染を予防することが可能です。
日本脳炎は、日本脳炎ウイルスを保有する蚊にさされることで感染します。日本脳炎ワクチンの普及と生活環境の改善により、日本脳炎患者発生は最近少なくなっていますが、毎年各都道府県で実施されているブタの抗体保有状況をみると日本脳炎ウイルスは西日本を中心に広い地域で確認されています。
現在、日本における日本脳炎ワクチンの1期の標準的接種時期は、初回接種として3歳に達した時から4歳に達するまでの期間に、6日以上(標準的には6日から28日まで)の間隔をあけて2回、初回免疫終了後6か月以上(標準的にはおおむね1年)あけて1期追加として4歳に達した時から5歳に達するまでの期間に1回となっています。ただし、定期接種の1期として接種可能な時期は生後6~90か月となっており、希望すれば生後6か月以上であればいつでも接種可能です。
日本脳炎ウイルスによるヒト感染のほとんどは無症状で、感染者の 1% 未満が神経疾患を発症します。急性脳炎は、日本脳炎ウイルス感染の最もよく知られている臨床症状です。潜伏期間は 5~15 日です。通常、突然の発熱、頭痛、嘔吐で病気が始まります。その後数日で、全身の脱力、運動障害等の症状が現れることがあります。致死率は約 20%~30% です。生存者のうち 30%~50% に重篤な後遺症が残ります。日本脳炎は発症すると、有効な治療がありません。ですので予防接種を受けて予防すべき疾患なのです。
どうして3歳からが標準接種になっているのでしょうか?
日本では長い間日本脳炎を発症するのは3歳以上であって、3歳未満は発症しないだろうと考えられていました。しかし最近の報告をみると 熊本県で2006年に3歳児、2009年に7歳児、高知県で2009年に1歳児、山口県で2010年に6歳児、沖縄県で2011年に1歳児、福岡県で10歳児、兵庫県で2013年に5歳児の報告があり、2015年千葉県において生後11か月児の日本脳炎症例が報告され、3歳未満でも罹患することがわかってきました。
日本小児科学会では、日本脳炎流行地域(東南アジア等)に渡航・滞在する小児、最近日本脳炎患者が発生した地域・ブタの日本脳炎抗体保有率が高い地域(九州地方等)の小児に対しては、生後6か月から日本脳炎ワクチンの接種を開始することが推奨され、県によっては6か月から日本脳炎ワクチン接種を積極的に進めているところもあります。
日本脳炎は、主に夏季に蚊を媒介して発症する疾患ですが、地球温暖化により蚊の活動が活発化しリスク地域が広がる傾向がありますし、国内外の人の移動が盛んになりリスク地域へ移動・移住する機会が増えていますので、どの地域に住んでいても6か月から接種する意義は大きいと思います。また3歳からとなると、うっかり接種を忘れてしまっているお子さんもみうけられます。ですので、他の予防接種を打たないといけない乳児期から開始する方が忘れずに接種を完了することができると思います。
日本脳炎のワクチンは3歳未満のお子さんに関しては0.25㎖、3歳以上のお子さんに関しては0.5㎖接種ですが、ワクチンの効果には差はありません。日本脳炎の予防接種は一年を通していつでも接種することが可能です。6か月を過ぎたら早めの接種をおすすめします。