新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症|吹田市千里丘の小児科|えびしまこどもとアレルギーのクリニック

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新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症

新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症|吹田市千里丘の小児科|えびしまこどもとアレルギーのクリニック

新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症

新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症

新生児・乳児消化管アレルギーと呼ばれていた抗原特異的IgE抗体を介さない特殊なタイプの食物アレルギーです。1990年代終わり頃に日本で急激に増えはじめ、現在では毎年約2000人の赤ちゃんが新たに発症しているとされています。なぜ日本を中心に急増したのか、その原因は今もってわかっていません。この疾患はFPIES(food-induced enterocolitis syndrome)、FPIAP(food protein-induced allergic proctocolitis)、FPE(food protein-induced enteropathy)という3つに分けられます。この中で特に問題となるのがFPIESです。

病態

原因となる食物を摂取することで、胃腸などの消化管に炎症が起こります。多くの方がイメージされる食物アレルギーは、鶏卵やナッツ類を口にした後、数分から2時間以内に蕁麻疹や呼吸の苦しさなどの症状が生じるもの(即時型といいます)だと思います。このような即時型の食物アレルギーは、食物に含まれるアレルゲンと抗原特異的IgE抗体が結合することで起こります。
一方、食物蛋白誘発性胃腸炎の症状は、数時間あるいは数日間かけて、胃や腸などの消化管に限局して現れます。この病気の発症にIgE抗体は主体的に関与しておらず、細胞性免疫が重要と考えられています。この疾患は、病態に抗原特異的IgE抗体は関与しませんが、血液検査で抗原特異的IgE抗体が検出されることもあります。

症状

乳児期は育児用ミルクを、離乳食開始後は固形食(卵黄が最も多く、そのほか大豆など)を摂取した後1~4時間経過後に嘔吐を繰り返してぐったりします。その後下痢や、場合によっては血便を伴います。固形食によるFPIESでは最初の数回は症状なく摂取できた食品が、数回目以後に激しい嘔吐を伴うことが多く、急性胃腸炎を診断されるケースもあります。症状が出ている時は、即時型食物アレルギーと違って、抗アレルギー薬やエピネフリンの投与は効果がありません。

治療

原因食品を一定期間除去します。1歳過ぎに食物経口負荷試験を行い寛解しているかどうか(症状が出ないかどうか)確認します。症状が残る場合は6~12か月ごとに負荷試験を繰り返します。即時型の食物アレルギーのように、症状の出ない範囲で少量ずつ摂取するという治療法は選択しません。

予後

1歳で半数以上、3歳までに9割近くが治るといわれています。

成人のFPIES

最近になって、乳児期のFPIESだけではなく成人のFPIESもあることが報告されています。草津病院と国立成育研究センターの共同研究の報告によると成人のFPIESの症例は小児の症例と同様に摂取して数時間程度で腹痛などの消化器症状を呈してきますが、その特徴として、摂取から症状出現までの時間が長く、さらに症状が持続する時間も長い、おなかの張りや冷汗を伴う強い腹痛が多い、消化器症状しかないためなかなかFPIESであると診断がつかず、診断がつくまでに時間がかかり、何度も発作を繰り返しているようです。原因としては甲殻類が多く、伊勢海老やオマール海老などの大型の海老が原因として多いようです。

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