
蕁麻疹
蕁麻疹
皮膚の一部が突然、赤くくっきりと盛り上がり(膨疹)、しばらくすると跡かたなく消えてしまう疾患です。多くは痒みを伴います。個々の皮疹(ブツブツや赤み)は数十分から数時間以内に消えることが多いですが、中には半日から1日くらいまで続くものもあります。次々と新しい皮疹が出て、常に皮疹が現れているように見えることもあります。膨疹(皮膚の盛り上がり)の大きさは1~2mm程度のものから手足全体位のものまで様々で、また一つ一つの膨疹が融合して体表のほとんどが覆われてしまうこともあります。形も様々で、円形、楕円形、線状、花びら状、地図状などと表現されます。
皮膚や粘膜のふかい部分を中心とした限局性の浮腫は、特に血管性浮腫と呼びます。
蕁麻疹の原因には様々なものがあり、また蕁麻疹の症状の現れ方にもいくつかの特徴的なものがあります。しかしこれらは必ずしも別々に起こるのではなく、一つの蕁麻疹にいくつかの原因が関係したり、同じ人に二つ以上のタイプの蕁麻疹が同時に現れたりすることもあります。したがって蕁麻疹の分類は必ずしも明確にはされていませんが、そのなかでも原因や症状などの特徴や定義が比較的はっきりしている種類としては、以下のようなものがあります。
個々の皮疹に関する直接的な原因ないし誘因無く自発的に膨疹が出現する。医療機関を受診する蕁麻疹の中では最も多い。
小児では、急性上気道炎やウイルス感染、胃腸炎などが原因となっていることが多い。発症から6週間以内のもの
毎日のように繰り返し症状が現れる蕁麻疹のうち、発症して6週間以上経過したもの。原因が特定できないことが多い。
機械的擦過や圧迫、寒冷、温熱、日光、振動などといった物理的刺激により起こる。
入浴や運動などで汗をかくと現れる蕁麻疹。一つ一つの膨疹(皮膚の膨らみ)の大きさが1~4mm程度と小さい。小児から若い成人に多い。
食べ物や薬剤、昆虫などに含まれる特定物質(アレルゲン)に反応して起こるもの。アレルゲンに結合するIgEが関与する。
アスピリンなどの非ステロイド系消炎鎮痛薬、色素、造影剤、食品中のサリチル酸などにより起こる蕁麻疹で、IgEが関与しない。
唇やまぶたなどが突然腫れあがり、2~3日程度かかって消える。痒みを伴わない。稀に遺伝性のものである場合がある。
蕁麻疹が起きる仕組みには大きくアレルギー性のものと非アレルギー性のものがあり、アレルギー性のものについては血液検査または皮膚を用いた検査で比較的簡単に判定することができます。皮膚を用いる場合は原因として疑われる物質を皮膚に注射(皮内テスト)、あるいは皮膚に載せて針で突く(プリックテスト)などの方法があります。また食べ物が原因と考えられる場合には血液中の抗原特異的IgE抗体の有無を確認します。
機械的圧迫や擦過、寒冷、温熱、光線などの物理的な刺激が原因となって起こる蕁麻疹では、それぞれ誘因となる刺激を加えて実際に蕁麻疹が起こることを確認するテストが行われることもあります。
薬が疑われる場合には、皮膚を用いた検査の他、必要によりごくわずかの量の薬を実際に飲んだり注射してみて蕁麻疹が現れるかどうかを確認することもあります。
それ以外の非アレルギー性のものについては、病歴や皮膚以外の症状から疑われる疾患に対して一般内科的な検査を進めます。しかし発症して1ヶ月以上経過した慢性蕁麻疹で、特に皮膚以外に症状がない場合では、あまり詳しい検査を行ってもほとんど異常が見つかることはありません。
蕁麻疹の治療は、できるだけ原因・悪化因子を探し、それらを取り除く、または避けるようにすることです。次に薬による治療です。蕁麻疹には様々な種類がありますが、そのほとんどの場合はマスト細胞から遊離されたヒスタミンが血管および神経に働くことで症状が現れます。そこでこのヒスタミンの作用を抑えるために、抗ヒスタミン薬または抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬が用いられます。これらの薬は蕁麻疹の種類によらず効果が期待できます。ただし明らかな効果が期待できるのは内服薬、または注射薬として用いられた場合です。外用薬は多少痒みを軽減する程度であまり大きな効果は期待できません。内服薬、注射薬の副作用としては、人により眠気を生じやすいこと、また成人の場合は前立腺肥大や緑内障がある人はそれらの症状がひどくなること、などがあります。生活上の注意点としては、蕁麻疹の悪化の原因となりやすい疲労やストレスをできるだけ溜めないようにしましょう。