NO.29 最重症の花粉症に新しい治療選択肢~ゾレア®~|えびしまこどもとアレルギーのクリニック|吹田市千里丘の小児科

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えびクリ通信

NO.29 最重症の花粉症に新しい治療選択肢~ゾレア®~|えびしまこどもとアレルギーのクリニック|吹田市千里丘の小児科

ここ数日暖かい日が続きましたが、今日からまた寒さが戻ってきましたね。今週、来週にかけては園や学校の卒業式のシーズン。ご卒園、ご卒業を迎えられる皆さん、ご家族様、ご卒園・ご卒業おめでとうございます。園や学校生活はどんな思い出ができましたか?たくさんの友達が出来、その友達と遠足や運動会、音楽会などたくさんの時間を共に過ごしてきたことと思います。その友達は、将来大切な宝となり大きな思い出となることだと思います。4月からその大切な思い出を胸に、新しい場所で、新たな仲間と思い出を作っていってください。

 3月はスギ花粉症の本格的なシーズン。今年のスギの飛散量は例年の2倍とか、4倍とかいろいろ言われていますが、去年までほとんど症状がなかった方でも症状が出て受診される方が大勢おられます。花粉症の治療は内服や点鼻、点眼を基本としますが、そのような治療でも効果が不十分な方がおられます。そこで選択肢となってくるのが、生物学的製剤のゾレア®です。

 ゾレア®とは、季節性アレルギー性鼻炎(いわゆる花粉症)のうち、既存の治療で効果が十分にみられなかった重症または最重症の「スギ花粉症」の方に限って、2020年より保険適応にて、12歳以上で行うことができるようになった治療法です。

2月~5月の期間限定で、抗IgE抗体オマリズマブ(商品名ゾレア®)を皮下注射するもので、従来の内服薬では鼻炎症状が治まらなかったり、抗ヒスタミン薬による眠気などの副作用が強く、より強力なものを使用できなかったりといった場合に使用します。

毎年、重いスギ花粉症で悩まれている患者さまにとって、症状の改善が期待できる可能性があります。

季節性アレルギー性鼻炎は、マスト細胞と言われる免疫細胞の表面にあるIgEに花粉が付着するすると、それがスイッチとなり、マスト細胞が活性化して、ヒスタミンなどの化学物質を放出し、それが神経や分泌物を出す鼻腺、血管などにあるヒスタミン受容体と結合することで、くしゃみや鼻水、鼻詰まり、目のかゆみなどを引き起こします。

 従来の花粉症の治療薬の主流は、マスト細胞が放出したヒスタミンが、受容体に結合することをブロックする「抗ヒスタミン薬」です。副作用として強い眠気が起こることが知られていましたが、現在では眠気の少ないものも開発され、多くの花粉症の方が内服し、一定の効果をあげています。しかし、アレルギー反応はヒスタミン以外の物質も多く関わっていると考えられており、十分な効果が期待できない方もいます。

抗ヒスタミン薬以外の治療では、ステロイドの点鼻薬、同内服薬、ヒスタミンと同様にアレルギー反応を引き起こす化学物質である「ロイコトリエン」に対する抗ロイコトリエン薬などがあり、さらにアレルギー反応を伝える知覚神経の一部を手術によって切除する「後鼻神経切除術」や、「舌下免疫療法」などがあります。

 

ゾレア®は、「オマリズマブ」という「抗IgE抗体」と呼ばれるタンパク質の商品名です。

ゾレア®には、IgEに結合することで、IgEがマスト細胞と結合できなくなるという効果があります。マスト細胞にIgEがくっつかないと、体内に侵入してくるアレルゲンはマスト細胞と結合できず、マスト細胞は活性化しないため、ヒスタミンなどの化学物質が放出されず、アレルギー反応が抑制されると考えられています。

 

ゾレア治療の対象となる条件

ゾレア®の治療を受けるためには、ガイドライン上、「重症」「最重症」のスギ花粉症であり、既存治療で効果が不十分であったことが条件となります。

 

  • 「重症」「最重症」であること

「重症」「最重症」については、鼻閉くしゃみまたは鼻漏(鼻水)の程度によって判断されます。たとえば、「くしゃみまたは鼻をかむ回数が2011回」、もしくは「鼻づまりの程度が強く1日のうちかなりの時間を口呼吸で過ごしている」という方は、「重症」と分類され、「くしゃみまたは鼻をかむ回数が21回以上」、もしくは「1日中、完全に(鼻が)詰まっている」場合には、最重症の季節性アレルギー鼻炎と診断されます。

  • スギ花粉に陽性であること

また、季節性アレルギー性鼻炎のアレルゲンが、スギ花粉でなければ抗IgE抗体治療ができないため、アレルギー検査を行い、スギ花粉が陽性であることを確認します。アレルギー検査は血液検査で行い、アレルギーを起こすアレルゲン(花粉)を特定する「特異的IgE検査」と、 アレルギーの傾向をつかむための「総IgE検査」を実施します。

  • 従来の治療法で効果がみられなかったこと

IgE抗体治療を行うに当たっては、その前にまず、季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)の治療を1週間以上行い、その効果が不十分であることを確認しなければなりません。

抗ヒスタミン内服薬やステロイドの点鼻薬の投与などの治療を行い、1週間後以降も、くしゃみや鼻水の症状、もしくは鼻詰まりの程度が、ガイドラインの重症分類において一定の基準を下回らなかった場合、既存治療で効果不十分な季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)と判断され、ゾレア®の治療の対象となります。

  • そのほかの条件

上記以外の条件としては、「12歳以上である」こと、「血清中総IgE濃度が301,500IU/mL、 体重が20150kgの範囲にある」ことが挙げられます。

以下のような場合、投与不可と判断されることがあります。

  • ゾレア®による抗IgE抗体治療実施では、スギ特異的IgE値がクラス3以上、総IgE値が301500IU/Lの範囲であることが絶対条件で、重症の方等でIgE値が高すぎ、この範囲を超えてしまう場合
  • ゾレア®の投与量と投与間隔は、体重と総IgE値によって決められるため、総IgE値が1500IU/L以下であっても、体重がより重いため、トータルで必要投与量が限界量を超えてしまう場合

 

ゾレア®は花粉症の時期だけに投与する注射製剤で効果はシーズン限定です。根本的な治療としては減感作療法(経皮免疫療法や舌下免疫療法)がおすすめです。

スギ花粉症の舌下免疫療法はスギ花粉の飛散時期には開始できませんので、開始できるのは6月あたりからになります。またここ数年、スギ花粉症の舌下製剤で最初の1週間投与する『シダキュア®スギ舌下錠剤2000JAU』の出荷が調整されており、舌下免疫療法を希望されても開始できずお待ちいただいているかたも多いのが現状です。今年の秋ぐらいからはある程度出荷される見込みと聞いています。希望される患者さんが秋以降に治療を開始できるとよいなあと思っています。

 

スギ花粉のピークは3月下旬ぐらいまで。4月に入るとヒノキ花粉に移行していきます。ヒノキ花粉にも症状が出る方は5月の連休明けくらいまでは症状が続きますので、お困りの方はご受診ください。

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