
アナフィラキシー
アナフィラキシー
アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が出て、生命に危機を与え得る過敏反応と定義されます。アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合をアナフィラキシーショックといいます。
アナフィラキシーガイドライン2022より
アナフィラキシーで症状が出る臓器は多種で、通常は皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、心血管など複数の臓器に生じます(表参照)。発症したときに、進行の速さや重症度を予測することは困難で、数分以内に死亡するケースもあります。致死的な反応において呼吸停止または心停止までの中央値は、薬物で5分。ハチ毒で15分、食物で30分との報告があり、アナフィラキシー症状が出現した際にはアドレナリンを投与するなど速やかな対応が必要です。
かゆみ、じんましん、むくみ、発赤
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咳、息苦しさ、ゼーゼー、ヒューヒュー
目の充血、腫れ、涙、かゆみ、口の中や唇の腫れ
下痢、吐き気、腹痛、嘔吐、血便
頭痛、活気の低下
意識低下、血圧低下、失神、尿や便を漏らす、脈が触れにくい
アナフィラキシーの時は基本的に患者を仰臥位(仰向け)に安静します。体の向きを変える、起こすなどをきっかけに急変することがありますので、急に座ったり立ち上がったりすることは行わないようにします。
患者さんから目を離すことがないように注意し、援助者を呼びましょう。
アドレナリンはアナフィラキシーからアナフィラキシーショックへの進行を防ぐ薬で、エピペン®はアナフィラキシーの症状が出た時に使用し、症状が悪くなるのを抑えるための補助治療剤で、アナフィラキシーの治療薬であるアドレナリンが入っています。アドレナリンを速やかに注射できるように設計された注射針一体型自己注射用製剤です。エピペン®には0.15 mgと0.3 mgの製剤があり、2011年9月から保険適用となっています。日本では0.15 mg製剤が体重15 kg以上、0.3 mg製剤が体重30 kg以上に処方可能です。一般的には、アナフィラキシーの既往がある場合や、アナフィラキシーを起こす危険性が高い場合に処方されますが、保育所・学校など集団生活の開始時、旅行などで医療機関へのアクセスが良くない場合なども、医師が必要と判断した場合はエピペン®の処方を受けることができます。
エピペン®を持っている場合は、下記のあるエピペンを打つべき症状が一つでも当てはまれば、エピペン®を使用し救急車を要請します。救急隊にはアナフィラキシーであること、エピペン®を使用したことを伝えるようにしましょう。接種すると速やかに効果が表れますが、効果持続時間は15~20分ですので、エピペン®を使用した場合は必ず救急車を要請してください。エピペンを2本処方されている人で、15~20分経って再びエピペンを打つべき症状が一つでも認められる場合は、2本目のエピペンを使用します。
実際にアナフィラキシー症状が出た時には、慌ててしまいエピペン®の使い方を忘れてしまったり、使うタイミングがわからなかったりすることがあります。
「マイエピ」はエピペン®を使用するすべての方のためのアプリで、アナフィラキシー症状が出た時に、動画と音声でエピペンの使用方法をナビゲーションします。
マイエピについては下記をご参照ください。