『そらくんのすてきな給食』|えびしまこどもとアレルギーのクリニック|吹田市千里丘の小児科

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えびクリ通信

『そらくんのすてきな給食』|えびしまこどもとアレルギーのクリニック|吹田市千里丘の小児科

保育園の食物アレルギーの指導表を持参される方が増えるのが9月。食物除去の指導表はできれば生活管理指導表を使ってほしいというのがアレルギー専門医の本音。吹田市はまだ独自の指導表を使っておられる園が多いので、ぜひ生活管理指導表に変えていただくと患者さんの自己負担がなくなりますので、よろしくお願いいたします。

2012年に東京都調布市で食物アレルギーのお子さんが給食の誤食事故で亡くなられたのをご存じでしょうか?事故から10年以上経過し、この事故をご存じない保護者の方や教職員の方が増えてきているように思います。この事故は、乳アレルギーのお子さんに、チーズが入ったチジミが提供され、アナフィラキシーの症状が出ていましたがエピペンの投与のタイミングが遅れてしまい、大切な命が失われました。

この事故をきっかけに調布市では学校関係者、保護者、アレルギー専門医が集まり、給食によるアレルギー事故防止の取り組みを続けて来られ、この取り組みは「調布モデル」と言われています。『そらくんのすてきな給食』は調布市でどのように食物アレルギーのあるお子さんに安全に給食を提供しているかが書かれた本です。安全であってこその楽しい給食、その思いがあふれる本で、読んでいて涙が出てきました。ぜひ手に取って読んでいただきたい本です。クリニックにも置いてありますのでお時間があるときに読んでほしいなあと思います。

『エピペン』。名前は知っている、聞いたことがある方も多いかなあと思います。エピペンは、アナフィラキシー出現時に使用し、医師の治療を受けるまでの間、症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための補助治療剤(アドレナリン自己注射薬)です。食物の場合、アナフィラキシーになってから心臓が止まってしまうまでの時間は30分程度といわれています。救急車を呼んで、病院に到着するまでの時間稼ぎのための薬です。

調布市の事故の後、アナフィラキシーに対する保護者、園、学校の理解が進み、エピペンの処方も増えました。講演会や教職員を対象としたエピペン講習会で、エピペンの使い方や緊急時の対応を幾度となくお話させていただきました。今ではエピペンを預かってくれたり、毎日登園・登校の時に持ってきてよいという園や学校が大多数ですが、いまだに園によっては、エピペンは預かりません、症状が出たら保護者にエピペンをもって園まで来ていただくという方針の園もあります。給食でミスしないようにするといっても人間ですのでミスはおきるものです。

教職員対象の講演会でいただいた声としてはエピペンの使用はできるだけ避けたい・・・、打つべき症状出ないのに使ってしまったらどうなるのだろうと不安、注射薬なのでやはり怖いなどがありました。

ここで声を大にして言いたいのは

エピペンを打つべき症状でなく使用しても死にません

でも、打つべき症状で使用しなかったら子どもが死んでしまう可能性があります

ということです。

講演会などでよくお話させていただくのですが、私のアレルギーの師匠は、用意されていたエピペンが実物ではなくトレーナーキットだと思い、患者さんに説明する際に実際にご自身の脚に間違って打ってしまったことがあります(もちろん誤射なのでほめられたことではありませんが)。打った後少し体が熱くなって、心臓が少しドキドキした程度だったと教えてくださいました。痛さは平手で大腿部をはたかれた感じ程度だったということでした

エピペンの中に入っているアドレナリンは皆さんの体の中にもある物質です。ストレス反応の中心的役割を果たし、心拍数や血圧を上げるなどの作用があります

    たとえ打つべき症状でなく、使用してしまっても、副作用を過度に心配する必要はありません。ぜひ怖がらずに適切なタイミングで使っていただきたいなあと思っています

    もう一つ、エピペンには有効期限があります。箱やケースなどに有効期限が記載されていますので有効期限が切れる前には新しいエピペンの処方を受ける必要があります。

    時々、エピペン更新に受診される患者さんが、エピペンを箱のまま持ってこられることがありますが、エピペンは箱から出してケースで持ち歩いていただき、箱の中に入っているトレーナーキットで定期的に打つ練習をしていただきたいと思っています。

    練習していないといざ打たないといけないというときに慌ててしまって、お子さんに正確に打てないこともあります。今一度、エピペンが処方されているお子さんがおられる家庭や園・小学校では緊急時の対応方法やエピペンの使い方を見直していただきたいと思います。当院ではエピペン更新の際に、ご希望があれば、期限がきれたエピペンを段ボールなどに実射していただき使用方法を確認したり、小学校以上のお子さんにはお子さん自身に使用方法を説明し自分で打てるようになるように指導させていただいております。

    でも注射薬は怖いですよね、そんな方々の朗報となるかもしれません

    アナフィラキシーの症状を一時的に緩和する注射薬「エピペン」の代替となり得る点鼻薬「Neffy」を、アメリカの食品医薬品局(FDA)が承認しました。体重30kg以上の小児および成人患者への使用が承認され、承認から8週間以内に販売されるとのことです。日本でも国立病院機構相模原病院と製薬会社のグループが海外の製薬会社が開発を進める鼻にスプレーをするタイプの治療薬について、国内で最終段階の治験を行い、アナフィラキシーの症状が出た6歳から17歳までの子ども15人にこの薬を投与し、その結果、15人のうち14人で5分以内に症状が和らぎ始め、最終的に全員の症状が治まったということで、いずれも重い副作用などはみられなかったというニュースが流れていました。今年度中に国に承認申請を行うことを目指しているということです。治験が6歳以上の子どもに行われていますので、それ以下のお子さんに関してはどうなるのかわかりませんが、少なくとも6歳以上で使用が可能になればいいですね。10月に日本アレルギー学会、11月に小児アレルギー学会が開催され、そこでもう少し詳しい情報があれば、また情報提供させていただきます。

    また下記のような便利なlineもあります。出ている症状を入れていけば、どのように対応すべきかわかりますので、こちらもぜひ登録していただくとよいかと思います

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