保湿剤は何を選べばよいの?|えびしまこどもとアレルギーのクリニック|吹田市千里丘の小児科

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えびクリ通信

保湿剤は何を選べばよいの?|えびしまこどもとアレルギーのクリニック|吹田市千里丘の小児科

9月も残すところ1日。

朝晩、少しずつ涼しくなり過ごしやすくなってきましたね。日中はまだ暑い日もありますが。

空気が乾燥してくると気になってくるのが皮膚の乾燥。

皮膚がデリケートなお子さまにとっては、秋から冬にかけては皮膚のトラブルがつきものです。今日は保湿剤について書こうと思います。

 

まず、皮膚がどのような構造をしているかをお話します。

皮膚は体の中と外を分ける防壁のような役割をしており、体内から水分が逃げるのを防ぎ、外側から細菌やウイルス、アレルゲン(アレルギーの原因物質)などが皮膚に侵入するのを防ぐ役割があります。皮膚の構造で最も表面にある「角層」です。その角層を顕微鏡で観察すると、レンガとその間を埋めるセメントのような構造をしています。セメントにあたる部分は「保湿成分」で満たされています。そしてさらに角層は皮脂膜という膜で覆われています。図で書くと下のようになります。

 

皆さんはどんな保湿剤を使っていますか?

 皆さんが普段考えている保湿剤には、英語では大きく2種類に分けられることをご存じでしょうか?

 

 

 

1つ目がエモリエント。これは、皮脂膜を補強する外用剤です。

 

2つ目がモイスチャライザー。これは、保湿成分という機能を足した外用剤です。

 

1つ目のエモリメントにあたるのがワセリンやプロペトなどです。エモリメントには皮膚を保護する作用はありますが、水分を引き寄せてくる作用はありません。これらの外用剤を塗ることで皮脂膜の代わりに角層を守り、体内から水分が逃げていくのを防ぎ皮膚が乾燥するのを防いでくれます。

 

 

2つ目のモイスチャライザーは保険適応のある外用薬としてはヒルドイドソフト®やヒルドイドローション®などがあります。保湿成分としてセラミドが有名ですが保険適応のある外用薬にセラミドが含まれているものはありません。処方薬に含有されている保湿成分としては、ヘパリン類似物質、尿素などがあります。尿素製剤は角質を柔らかくする作用がありますが、若干刺激感があります。

 

 

ここまで聞くと、エモリメントよりモイスチャライザーの方がよさそうな気がするかもしれません。どちらにも長所短所があります。

 

 「エモリエント」の長所としては、皮膚を保護する能力が優れていること、刺激が少ないがあげられます。乾燥でかゆくなり掻いて傷がついた皮膚に塗っても刺激感はほとんどありません。特に、ワセリンのなかでも不純物が少ないプロペトは、もともと眼球に塗るワセリンでもあったという成り立ちから、塗る場所を選ばないので使い勝手がとても良いと思います。モイスチャライザーよりも安いので、たっぷり使うことができます。一方で、べたつきが強くて、やや使い勝手が悪いという短所もあります。夏にワセリンを塗ると、汗をうまくかけず、汗疹が増えてしまうというケースも経験します。冬の寒く乾燥した時期にはワセリンを塗ることでしっとり感か感じられることもあります。

 

スキンケアは毎日行うものですから、使い勝手の良し悪しというのは重要になってくると思います。

 「モイスチャライザー」には保湿作用があるのでアトピー性皮膚炎の患者さんのように皮膚の保湿成分が減っている皮膚には有効性が高いと報告されています。またクリームやローションなど剤型が豊富で、場所に応じて塗り分けることができるのも長所です。モイスチャライザーはエモリエントよりもやや値段が高いのと、エモリエントほど皮膚の保護には優れていないというのが短所になります。

 

 エモリメントが良いか、モイスチャライザーが良いか?と聞かれると

自分やお子さんにとって塗りやすいもの、塗った時の感じが合うものを選んでいただき、季節や塗る場所によっても塗り分けるのも良い。

 が結論です。

 

ローション製剤にはアルコールが含まれているものがありますので、傷がある部分に塗るとピリピリとする場合があります。

 

秋から冬にかけて特にアトピー性皮膚炎のお子さんは乾燥が強くなり湿疹が悪化してしまうケースがあります。保湿はできれば12回が望ましいですが、忙しくて無理という場合は入浴後だけでも良いのでしっかり保湿して皮膚を守るようにしてくださいね。皮膚トラブルでお困りの方は受診していただくか、アレルギー専門看護師のスキンケア外来をご利用ください。

 

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