ここ数日雨が続いていますが、天気予報を見ると来週から晴天が続きそうなのでそろそろ梅雨明けでしょうか?梅雨が明けると厳しい暑さがやってきそうですね。
今日はクリニックビルの1Fの自動扉が開かず、ご迷惑をおかけしました。昨日行われた看板の電気系統の工事の際に自動扉のブレーカーを切ったことが原因との報告がありました
外でお待たせしてしまった患者様、申し訳ありませんでした。
また、昨日お知らせにも記載しましたが、クレジットカード決済ができるようになりました。保険診療でも使用可能です。ぜひご利用ください。
今日は食物アレルギーのお話です
食物アレルギーの医療はここ10年ほどで大きく変わりました。原因食物がわかった場合、以前は完全除去が指導されていました。現在は、アレルギーの原因と考えられるものを少量食べさせて反応を見る『食物経口負荷試験』などで一定量は食べられると判断された場合、可能な限り摂取させる「必要最小限の除去」が主流になっています。食べられる量を確認し、計画的に摂取を進め、食べて治そうという考え方です。より重症な方には、食物アレルギーを克服するために挑戦する「経口免疫療法」があります。原因食物をごくわずか(0・1g程度)から計画的に食べ始めて、ゆっくり増量していきます。厳密なプロトコール(治療計画)に従って摂取を進める、研究的な治療となります。経口免疫療法は治療に精通した専門医の下で行うものです。安全に最善の注意を払いながら治療を進めるために、合併する喘息(ぜんそく)やアトピー性皮膚炎のコントロールも大事になります。
最近、アレルギー専門医でない先生方の中に、この食べて治すを勘違いされているのではないかと思われるケースがあります。食べて治すは、あくまでも、食べて症状が出ない範囲で食べることであって、症状が出ているに食べ続けることではありません。また、血液検査で特異的IgE抗体が陽性であってもちょっとずつ食べていきましょうと指導されているケースがありますが、具体的な食べ方の指導がなされていないケースも多々遭遇します。
先日当院に受診された患者様は、乳児期から重症のアトピー性皮膚炎があり、生後6か月の時点で牛乳、カゼイン(牛乳のアレルギーの主成分)に感作(特異的IgE抗体ができている状態)があり、特異的IgE抗体の数値も高いことから牛乳に関しては負荷試験などを行いながら慎重に進めていく必要があることを説明していました。10か月健診で診察した先生が、体重増加が悪いこともあり、抗ヒスタミン薬を飲んでなんでも食べていきましょうと指導され、お母さんはその指導に基づいてお子さんにパン屋さんのパンを食べさせたところ、咳が出て、ぐったりして起こしてもなかなか起きなかったということでした。同じエピソードが2回あり、ご相談に受診してくださいました。抗ヒスタミン薬を飲んでいて皮膚の症状が出にくくなっていただけで、呼吸器症状(咳)と循環器症状(ぐったりする)があり、乳によるアナフィラキシーと診断しました。
安全に摂取するために必要な食物経口負荷試験が実施されていないにも関わらず、抗ヒスタミン薬を飲んで、症状が出ても食べて慣らしていけばよいという指導は、専門医からすると非常に危険なやり方です。
食べて治すは症状が出ないように食べていくことであり、症状が出ているのにスパルタのように食べていくことではありません。血液検査で特異的IgEが陽性であるというだけで除去する必要性はもちろんありません。陽性であることと症状が出ることは必ずしもイコールではありませんが、年齢が低く、数値が高い場合は、症状の出る可能性も高くなります。安全に進めていく上で、食物経口負荷試験で安全な摂取量を確認して、計画的に進めることが大切です。
食べて治すが独り歩きして、間違った方向にとらえられていることにアレルギー専門医として不安に感じました。安全に摂取を進めること、これが一番大切なことです。当院では食物経口負荷試験を8月より実施します。負荷試験の詳細につきましてはhttps://ebishima-kids.com/menu/medical03/をご参照ください。