NO.39 MR2期の接種はお済ですか?~麻疹感染から子どもを守るために2回目の接種を~|えびしまこどもとアレルギーのクリニック|吹田市千里丘の小児科

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えびクリ通信

NO.39 MR2期の接種はお済ですか?~麻疹感染から子どもを守るために2回目の接種を~|えびしまこどもとアレルギーのクリニック|吹田市千里丘の小児科

2学期が始まりました。夏休みは楽しい思い出ができましたか?

2学期は多くの学校で、運動会、音楽会、遠足、修学旅行といった行事が多いのではないでしょうか。2学期に入りすぐに運動会の練習が始まる学校もあるかと思います。まだまだ暑い日が続きますので、熱中症にはご注意くださいね。すべての行事に元気に参加できるように体調を整えましょう。

去年はこの時期からマイコプラズマ感染症が流行しました。今年は8月に入り、成人のコロナウイルス感染症が流行しています。お子さんではヘルパンギーナやアデノウイルス感染症、以前は冬のウイルスと言われたRSウイルスなどが出ています。大きな感染には広がっていませんが、ご注意下さい。

 年長児の皆さん、MR2期のワクチンはお済ですか?MRワクチンは、麻疹風疹の混合ワクチンです。MR2期のワクチンは年長になった41日から331日まで公費で接種可能です。

日本では国内由来の麻疹は抑えられていましたが、最近では海外から持ち込まれた麻疹ウイルスで感染症が広がっているケースがあり、決して昔の病気ではありません。

 今年に入りはしか発生のニュースを目にすることが多いかと思います。つい先日も福岡市内で空気感染によると思われるはしかの発生(0歳と30歳代で面識なし)が報告されていました。今日はその麻疹と風疹について書こうと思います。。

 

麻疹(はしか)とは?

 麻しんウイルスによって引き起こされる全身感染症です。感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強いです。電車の同じ車両に一人麻疹の方が乗っていると、免疫を持たない場合、車両にいた全員が感染すると言われています。免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。
 麻疹に感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。23日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています
 その他の合併症として、10万人に1人程度と頻度は高くないものの、麻しんウイルスに感染後、特に学童期に亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる中枢神経疾患を発症することもあります。この亜急性硬化性全脳炎になると、現在でも治療方法がありません。

 

亜急性硬化性全脳炎 (SSPE) は、麻疹ウイルス感染後に数年から数十年を経て発症する神経系の疾患です。麻疹に感染した後に、数年間の潜伏期間を経て、徐々に神経症状が悪化し、最終的には死に至る重篤な病気です。初期症状は、学習能力の低下、行動の変化、感情の不安定さなどで徐々に進行し、数か月から数年かけて神経症状が悪化します。この病気には確立された治療法はまだありません.一般的に予後不良で、多くの場合、重度の障害が残ります。

 

風疹(ふうしん)とは?

風疹は、風しんウイルスによって引き起こされる急性の発疹性感染症で、風疹の免疫がない集団において、1人の風疹患者から57人にうつす強い感染力を有します。​感染経路は、飛沫感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播します。​
 症状は感染症状を示さない症例から、重篤な合併症が出る症例まで幅広く、特に成人で発症した場合、小児より重症化することがあります。また、脳炎や血小板減少性紫斑病を合併することがあります。風疹に対する免疫が不十分な妊娠20週頃までの女性が風しんウイルスに感染すると、眼や心臓、耳等に障害をもつ(先天性風しん症候群)子どもが出生することがあります。(妊娠1か月でかかった場合50%以上、妊娠2か月の場合は35%などとされています)。

先天性風疹症候群も治療方法のない疾患ですので、妊婦さんだけではなく、周囲の方(特にお父さんになる方)が免疫を持っていることが大切です。

 

1回目のMRワクチンを接種することによって、95%程度の人が麻しんウイルスと風しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができます。

 

 麻疹も風疹もウイルスに伴う感染症です。インフルエンザのように効果がある抗ウイルス薬はありませんので、ワクチンで予防することが何より大切です。MR2期のワクチン接種がまだお済でない方は早めに接種を完了してくださいね。

またMR1期のワクチンも1歳を迎えられたら、なるべく早く接種するようにしましょう。

 

9月の市報すいたの医療コラムに百日咳について記載させていただきました、吹田市の方、お時間ありましたらご一読下さい。

 秋以降はぜん息の発作のシーズンです。またダニが原因の通年性アレルギー性鼻炎も症状がひどくなる時期です。ぜん息は発作を予防する薬を毎日使用し、発作をなるべく起こさず、楽しい秋の行楽シーズンになるようにしましょうね。

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