
皮膚の感染症
皮膚の感染症
皮膚に侵入した細菌によって引き起こされる皮膚の感染症です。伝染性膿痂疹には原因となる細菌や発疹の違いから水泡とびらんを特徴とする水泡性膿痂疹と黄色の比較的分厚い痂皮を特徴とする痂皮性膿痂疹に分類されます。
水泡性膿痂疹は黄色ブドウ球菌によるもので、2~3歳のお子さんに多く、特に夏の高温多湿の時期に流行します。痂皮性膿痂疹はA群β溶血連鎖球菌、黄色ブドウ球菌によるもので、年齢や季節を問わず発症します。
アトピー性皮膚炎などの湿疹や皮膚の傷ついた部分などバリア機能が低下した部分に細菌が感染し発症します。
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群はこの黄色ブドウ球菌が作り出す毒素が血液の循環によって全身に広がり、皮膚がやけどのように剝がれてしまう病気です。
直接感染を起こしていない場所の皮膚にも、血液を介して運ばれた毒素で皮膚が剥離してびらん(皮膚や粘膜の表面が欠損した状態)を起こします。力が加わる部分や擦れやすい部分を中心に広範囲に皮膚が障害されます。
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群は主に乳幼児期にみられることが多く、学童期以降にみられることはまれです。
アトピー性皮膚炎や乾燥した人の皮膚で、ポックスウイルスの感染によっておこる疾患です。この感染症でできるいぼは通常、直径約2~5ミリメートル未満で、ドーム状の形をしており、いぼの中央部に小さいくぼみがあります。伝染性軟属腫の原因ウイルスは感染性が高く、皮膚との直接の接触や感染者が触れたタオルやスポンジなどの物を介して伝染します。
蜂窩織炎は、皮膚と皮下の脂肪組織に生じる細菌感染症です。原因となる細菌には多くの種類があります。ブドウ球菌とレンサ球菌が一般的で、他には大腸菌や緑膿菌などの多くの細菌が蜂窩織炎の原因となります。また、最近は抗菌薬に対して耐性を示すブドウ球菌による蜂窩織炎が増えており、病院や介護施設で抵抗力が弱った人に感染しやすいと言われています。細菌は、通常ひっかき傷や刺し傷、手術、熱傷、真菌感染症(水虫)などによってできた小さな傷から侵入しますが、傷のない正常な皮膚にも起こることがあり、糖尿病やステロイド治療など、免疫を低下させる要因があると重篤化しやすくなります。人から人へ感染することはありません。