秋になると増える「せき」と「ぜん息」 ~どうして吸入の前と後で、何度も胸の音を聴くの?~|えびしまこどもとアレルギーのクリニック|吹田市千里丘の小児科

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えびクリ通信

秋になると増える「せき」と「ぜん息」 ~どうして吸入の前と後で、何度も胸の音を聴くの?~|えびしまこどもとアレルギーのクリニック|吹田市千里丘の小児科

9月に入り、新学期が始まりました。夏休みが終わって生活リズムが戻ってきた頃ですが、日中はまだ残暑が厳しい日もありますので、引き続き熱中症や水分補給には気を配ってくださいね。

昔は「秋といえば運動会」というイメージでしたが、最近では春に運動会を行う学校も増えてきました。一方で、小児科では今も昔も「秋はぜん息発作が増える季節」という印象があります。台風による気圧の変化や朝晩の気温差、ダニなどの影響が重なり、秋はぜん息症状が出やすい時期といわれています。実際、勤務医時代も春と秋はぜん息発作で入院されるお子さんが多かったことを思い出します。

ぜん息の診断で何より大切なのは、丁寧に胸の音を聴くことです。 当院では、聴診の際に風車を吹いてもらっています。「どうして風車を吹くの?」と思われたことがあるかもしれません。風車を吹くことで自然と息を強く吐くことができ、普段は聞こえにくい「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音(喘鳴)が分かりやすくなることがあります。

また、診察室で胸の音を聴いたあと、 「一度吸入をしてきましょうね」 とお声掛けし、吸入後にもう一度診察室で胸の音を聴くことがあります。 「吸入ってどんなときに必要なの?」「さっき胸の音を聴いたのに、どうしてもう一度聴くの?」 そんな疑問を持たれた保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、吸入を行う理由と、吸入の前後で胸の音を聴く理由について分かりやすくご紹介します。

どんなときに吸入をするの?

診察で胸の音を聴いたときに、次のような所見がある場合に吸入を行います。

  • 「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴(ぜんめい)が聞こえるとき
  • 痰が絡んだ「ゴロゴロ」という音が聞こえるとき
  • 聴診で音は聞こえないけれど、症状からぜん息を疑うとき

吸入では、お薬を細かい霧状にして吸い込みます。狭くなった気管支を広げたり、痰を出しやすくしたりすることで、呼吸を楽にすることが目的です。 「咳があるから吸入をする」のではなく、「胸の音を聴いて必要と判断した場合」に吸入を行っています。

吸入の前と後で胸の音を聴くのはなぜ?

当院では、吸入には気管支を広げる作用のあるメプチン®を使用しています。 吸入の前後で胸の音を聴き比べることは、お子さんの咳の原因を見極め、お薬が効いているかを確認するためにとても大切です。 理由は大きく3つあります。

吸入で本当に良くなったか確認するため ゼーゼーしているお子さんに気管支拡張薬を吸入すると、気管支が広がり、呼吸が楽になります。 吸入後に「ゼーゼー」や「ゴロゴロ」という音が減っていれば、「お薬がしっかり効いている」と判断できます。

ぜん息かどうかを判断するため 吸入によって胸の音や咳が改善した場合、「気管支ぜん息(あるいはその可能性)」を考える大切な手がかりになります。ぜん息では、気管支拡張薬によって症状が改善することが多いためです。

隠れていた「ゼーゼー」を見つけるため 少し不思議なお話ですが、吸入する前には聞こえなかったゼーゼーという音が、吸入後にはっきり聞こえてくることがあります。 これは、吸入によって気管支が少し広がり、空気が奥まで通るようになることで、それまで聞こえにくかった喘鳴が分かるようになるためです。 「なかなか治らない咳の原因は、実はぜん息だった」ということが分かるきっかけになることもあり、吸入後の聴診はとても重要です。

吸入後に少しお待ちいただく理由

「吸入が終わったのに、また待つの?」 そう思われたことがある方もいらっしゃるかもしれません。 気管支拡張薬は、吸入してすぐに最大の効果が出るわけではなく、効果が現れるまで約10分ほどかかります。 そのため、吸入直後ではなく、少し時間をおいてから再度診察室へお呼びし、胸の音がどう変化したかを確認しています。

診察まで少しお待たせしてしまうこともありますが、お子さんの状態をより正確に判断するために必要な時間ですので、ご理解いただけますと幸いです。

吸入で大切なのは「マスクをしっかり密着させること」

吸入の効果を十分に得るためには、マスクを顔にしっかり密着させることがとても大切です。 隙間があると、お薬が十分に気管支まで届かず、多くがお口の中や胃へ流れてしまいます。 せっかく頑張って吸入しても効果が十分に得られなくなってしまうため、当院ではスタッフから「マスクをしっかり当ててくださいね」とお声掛けしています。ご家庭でも吸入をされる際には、ぜひ意識してみてください。

 

お子さんの咳は、一見同じように聞こえても、その原因はさまざまです。だからこそ、胸の音を丁寧に聴き、その変化を確認することが診断や治療には欠かせません。

私自身、研修医時代から「患者さんの変化を自分の耳で確かめること」「丁寧な聴診を怠らないこと」を繰り返し教わってきました。レントゲンや検査機器が進歩した今でも、聴診器から聞こえる音には、お子さんからの大切なメッセージが詰まっています。

吸入をお願いしたり、何度も胸の音を聴いたり、お待ちいただく時間があったりする一つひとつには、すべて大切な理由があります。 これからも、その小さな変化を見逃さないよう、丁寧に診察していきたいと思います。

 

※ 自宅で吸入器を持っておられる方へ:吸入に水道水は絶対に使用しないでください。水道水は浸透圧の関係で、気管支の攣縮を引き起こし、症状が悪化する可能性があります。必ず生理的食塩水、インタール®、パルミコート®、メプチン®など医師から処方されたものを使用するようにしてください

 

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