4月になりました。皆様、進学、進級おめでとうございます。春は出会いの季節ですね。
先日、研修医時代をともに過ごした仲間たちと集まる機会がありました。それぞれ出身大学は違いますが、1年間大学病院で苦楽を共にした大切な仲間です。 20年以上が経ち、大学病院で講師として活躍する人、基礎医学の道に進んだ人、市中病院で地域医療を支える人と立場は様々ですが、会えばいつまでも気の置けない仲間のまま。あの時の出会いがあったからこそ、大変な研修医時代を乗り切ることができたのだと改めて実感しました。
皆さまにとっても、この春が素敵な出会いの季節となりますように。
さて、新しい環境での生活が始まるこの時期、アレルギーをお持ちのご家庭では「もしもの時の備え」を再確認していただきたいと思います。先日、当院に寄せられた1本の緊迫したお電話を例に、大切なポイントをお伝えします。
夕方の診療を終えようとしていた時のことです。1本の緊迫した電話がかかってきました。
当院のかかりつけではないお子さんでしたが、乳アレルギーがあるのに、誤って乳製のチーズを食べさせてしまった。喉が苦しいと言い、蕁麻疹と咳も出ている」という状況でした。
クリニックまで車で15分。しかし、症状から判断すると重症の「アナフィラキシー」です。移動中に悪化する危険があるため、私たちはすぐさま「その場でエピペンを打ち、救急車を呼ぶこと」を指示しました。
初めて使うエピペンに戸惑う保護者の方に、看護師が電話越しに使い方のレクチャーを同時進行で行い、無事に打つことができました。
誤食は、どれほど気をつけていても起こりうるものです。このケースから、皆さんにぜひ知っておいていただきたい「4つの備え」をお伝えします。
- 「自宅に置くもの」からリスクを減らす
乳製品の中でも、チーズや脱脂粉乳は乳タンパクの含有量が多く、強い症状が出やすい食品です。「急いでいる時」や「思い込み」によるミスを防ぐために、以下のことを徹底しましょう。
- 家庭内のルール化: 乳アレルギーのお子さんがいる場合、家で使うチーズは「豆乳チーズのみ」に限定する。
- 「いつもと同じ」を疑う: 商品のリニューアルで原材料が変わることはよくあります。購入のたびに食品表示を確認する癖をつけましょう。
- エピペンを打つタイミングを「シミュレーション」する
日本小児アレルギー学会の指針では、以下の症状が1つでもあれば、迷わずエピペンを使用すべきとされています。

「まだ薬で様子を見られるかも…」と迷うかもしれませんが、迷うような症状が出た時こそが打つタイミングです。打つべきタイミングでない時に使用しても、お子さんの体に問題ありません。それよりも打つべきタイミングを逃してしまう方が命の危険を伴うます。
- 「移動」と「体位」の注意点
アナフィラキシーが起きている時、体の中では循環(血の巡り)が非常に不安定になっています。
- 車で受診しようとしない: 移動中に容体が急変する恐れがあります。すぐに119番通報し、救急車を待ってください。
- 寝かせたままにする: 急に立ち上がらせたり起こしたりすると、血圧が急降下し命に関わることがあります。エピペンを打った後は、足を少し高くして寝かせた状態をキープし、救急隊が来てもそのままの姿勢で搬送してもらってください。
- エピペンは「箱から出して」保管する
いざという時に「練習用と間違えた」というトラブルは、実は非常に多いケースです。
- 箱から出す: すぐに手に取れるよう、箱から出した状態で保管してください。
- 練習用と本物を分ける: 練習用トレーナーと実薬(本物)は、パッと見て区別がつくよう別々に保管し、日頃からトレーナーを使って練習しておきましょう。
119番で伝えること 焦ってうまく説明できない時は、シンプルにこれだけ伝えてください。
「アナフィラキシーでエピペンを使用しました!」
誤食は誰にでも起こります。だからこそ、「起きてしまった時にどう動くか」を常にイメージしておくことが、お子さんの命を守る一番の鍵となります。
「エピペンは処方されているけれど、いざという時に正しく使えるか自信がない……」 そんな不安を抱えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
使用するべき適切なタイミングから、確実な打ち方まで、丁寧にお伝えさせていただきます。練習用トレーナーを使って、一緒にシミュレーションしてみましょう。

