今年は雨の多い9月でした。また雨の恐ろしさを知った9月でもありました。さらに、今年はインフルエンザが一足早く流行を迎え、吹田市の小学校でも学級閉鎖、学年閉鎖の報告がありました。9月は多くの学校で運動会が行われると思います。気温の寒暖差や練習で疲れの出やすい時期です。体調の変化に気を付けてくださいね。
インフルエンザワクチンの接種も前倒しで9月28日より開始しております。予約枠にまだ少し余裕がありますので、接種を希望される方はお申込みください 。
本日のテーマは先月から引き続き「気管支ぜん息の吸入方法」です。 ぜん息は、気管支に慢性的な炎症がある状態です。そのため気道がとても敏感になっており、風邪や冷たい空気、花火の煙といったちょっとした刺激で気管支が収縮し、ゼーゼーしたり咳が止まらなくなったりします。
この炎症を抑えるための治療として、「吸入ステロイド薬」がとても大切です。 吸入薬には大きく分けて以下の3種類があります。
- 懸濁液(けんだくえき)
- エアロゾル製剤
- ドライパウダー
せっかくのお薬も、正しい方法で使わないと十分に効果を発揮できません。今回はその中から、「ネブライザー(吸入器)で吸入する懸濁液」の特徴と、吸入時のポイントについてお話しします。
ネブライザーの特徴
液体のお薬を機械で霧状にして吸い込むタイプです。 年齢を問わず使えますが、特に小さな乳幼児さんにも適しており、当クリニックでも院内の吸入はこのタイプを採用しています。
- 安静にして吸入できる: ぜん息の発作時でも使いやすいのが特徴です。
- 種類: クリニックにあるような据え置き型のほか、持ち運びに便利な小型タイプもあります。
ここがポイント!吸入時の注意点

乳幼児さんの場合、必ず「マスクを隙間なくぴったりと当てる」ようにしてください。
「マスクを当てると嫌がって泣いてしまうから……」と、少し離して吸入させていませんか? 実は、マスクが離れていると、霧状になったお薬のほとんどが気管支に届かず、ただ胃に入っているだけの状態になってしまいます。これでは、せっかく頑張って吸入しても、期待する効果が得られません。
私も研修医の頃、泣き叫ぶお子さんを見て「少し離してもいいのでは?」と思ったことがありましたが、指導医の末廣先生から「それだと全く意味がない」と厳しく教わった経験があります。
最初は嫌がるお子さんも多いですが、毎日続けることで自然と慣れていきます。そのうち自分でマスクを持ってくれるようになりますので、まずは「ぴったり当てる」ことを意識してみてくださいね。
主な吸入薬の種類
- ブデソニド懸濁液: 毎日の炎症を抑えるために使う、とても大切なコントローラー(長期管理薬)です。
- メプチン: 発作時に使う気管支拡張薬です。量が少なく機械で霧状にしにくいため、通常は生理食塩水などと混ぜて使用します。
メプチン吸入液は含有量が0.3mlと少なく、これだけではネブライザーを使用して薬液が霧状に出てきません。そのため生理的食塩水やブデソニド懸濁液を一緒に使用する必要がありますが、生理的食塩水やブデソニド懸濁液の代替えとして水道水や蒸留水は絶対に使わないでください。浸透圧の問題で症状が悪化する恐れがあります。必ず生理的食塩水又はブデソニド懸濁液でお願いします。
ネブライザー吸入のちょっとしたコツ
吸入中のお子さんを飽きさせないために、動画などを見せている保護者の方もいらっしゃるかと思います。機嫌よく吸入してもらうための工夫として、スマホなどを活用することは全く問題ありません。
ただ、一つだけ注意していただきたいのが「姿勢」です。 つい夢中になって下を向いてしまうと、気道が狭くなり、せっかくの薬が気管支までうまく届かなくなってしまいます。動画を見るときは、「顔を上げて、背筋を伸ばす」ことを意識してあげてください。これだけで、薬の届き方がぐっと良くなりますよ。
また、マスクを長時間当てていると、肌が荒れて湿疹ができることがあります。吸入が終わったら、お水を飲ませて口の中を洗い流し、口の周りも優しく拭いてあげてくださいね。これだけで湿疹予防になります。
少し手間はかかりますが、正しい吸入方法でお子さんの健やかな毎日を一緒に守っていきましょう。 来月はエアロゾル製剤等の正しい吸入方法について説明します。

